コンサルタントの飯島綜研はこのほど、旅館の調味料と主な食材の仕入れ価格調査を行った。それによると、旅館間の仕入れの価格差は以前に比べ縮まっており、各旅館が原価管理に力を入れている実態が分かった。ただ、価格の決定に際して経営陣のチェックがない旅館もあり、課題の残る結果となった。
醤油、酢、みりんなどの調味料は、有名ブランドの採用で高く仕入れている旅館があれば、地方ブランドや無名ブランドの採用で安く仕入れている旅館もあり、バラツキがみられた。ただ、同一ブランドの商品では旅館間であまり差がないことも分かった。飯島綜研では「品質そのものは分からないが、非常に安く仕入れている旅館もあるので、その点では参考にされることが必要ではないか」としている。
まぐろ、肉などの原材料は、相場があるせいもあり、高すぎるという旅館はなく、平均的な仕入れ単価となっているのが特徴。飯島綜研では「旅館が仕入れに関してはシビアになっていることがうかがえる」としている。
仕入れ価格の決定に際して「複数の業者からの見積もりをとって」は37%、「市場の相場と照らし合わせて」は20%の旅館が回答した。「以前に比べ、仕入れに対する姿勢が良化している」(飯島綜研)。
半面、「業者の言い値で」は12%、「調理長に任せている」は22%が回答。「納入業者、調理長を信頼しているからかもしれないが、仕入れ価格が高くなる可能性もあるので、経営側のチェック体制が必要と思われる」(同)。
実際、「納入業者に任せている」と回答した旅館は、「複数の業者から見積もりをとっている」と回答した旅館に比べ、仕入れ価格が若干高めになっている。
納品・検品に関しても、「厨房担当者および仕入れ担当者が立ち会っている」が40%となっているが、「厨房に任せている」も38%あり、「問題の残る結果となった」(同)。